サウナが熱い?

New Normalに慣れてきた

最近よく聞くpodcast番組の1つが“The language we speak”。BBCが英語学習者向けに作っている番組の1つで、”6minnutes English”と並び私のお気に入りである。

この番組は教科書に載るにはまだ早いが、ネイティブスピーカー、特に若者のそれの間で広く使われている言葉を紹介してくれる。vanilla=「平凡でひねりが無い」、roast=「じんわりと責める」など最新の言い回しを学ぶことができ、毎週更新されるのを楽しみにしている。

そのThe Language We Speakの先日のネタは”new normal”という言葉だった。この言葉は、今年の4月以降英字新聞や英語ニュースに頻繁に登場している。言うまでもなく、コロナ以降の生活スタイルのことを表す言葉である。和製英語のような響きを持つフレーズだが、BBCが取り上げるぐらいなので本物の英語だろう。

コロナ禍ということが言われ始めてもう半年以上たった。私たちは、今まで考えもしなかった行動を求められて、そしてそれらに”new normal”として慣れ始めている。

50年近く生きて来て、マスクを着用する夏は初めてである。一年中マスクをつける人は周りを見渡せば、30人に1人ぐらいの割合でいた。しかし、今年はほぼ100%の人が電車や人ごみの中ではマスクを着用している。マスクなしでは、今や車内で咳1つすることすらできない。

正直、夏のマスク、鬱陶しくてしょうがない。人気が少ない場所ではすぐに外す。布地が汗で湿っている。頬の部分の肌が荒れている。駅から職場まで歩きながら「もう嫌」という言葉を連呼する。9月に入り、暑さも幾分和らいできた。しかし、「来年の夏もマスクか」と思うとうんざりしてくる。

スーパーや各種商店のビニールシートを挟んだレジも、すっかりと当たり前の光景になってしまった。こんな奇妙な光景が、今では、まるで今までずっとそうであったかのように思えるから不思議である。

コロナが普通の風邪と変わらないようになる日が来れば、今日のレジの姿も写真に写った髪形や服装と共に「ああいった時があった」と思い出される存在になるであろう。

サウナ界のnew normal

コロナの第1波が始まり、緊急事態宣言が出されていた間、私は「サ活」を控えていた。「別にサウナぐらい…」と思っていたが、妻と私との良好な関係の維持を最優先にした結果であった。

5月下旬に緊急事態宣言が解除され、私のリモートワークも終わり、子供たちの学校も始まった。そうなればサ活をしない理由もない。私は6月初旬に2か月ぶりのサウナを堪能し、それ以来、何事もなかったかのように以前と同様のペースでサウナに通っている。

第2波は人数の面では、第1波よりもずっと大きい。しかし緊急事態宣言は出ていない。GoToキャンペーンも始まった。「普通に戻ろうよ」という雰囲気と「きちんと予防しろよ」というそれとのせめぎ合いが続いている。

最終的なところで日本人は態度を保留し、曖昧なままで解決しようとする。神話の世界でもそうであった。天上の神々が困った時、その判断は占い、つまり神の力を超えた力に頼ろうとした。今回の禍でも、その日本人の特性が出ていて、その是非はともかく、面白い。

さて、妻との関係を崩すことなく、なし崩し的にサウナを取り戻した私であるが、通ううちにここにもnew normalがあることに気が付いた。

施設へ行き、履物を下足箱へ預ける。大抵は100円返却式のロッカーである。私はできるだけ「307」か「371」か「375」のロッカーに靴を入れる。「サウナ」「サウナイイ」「サウナゴー」の語呂合わせだ。どうでもいいことではある、しかしここをきっちりとすると「整いそう」と思う自分もいる。

6月以降、これらのロッカーに靴を入れにくくなった。各施設で入館できる人数を制限していて、利用できるロッカーの数を減らしているのだ。

数字そのものに力があるかどうかはわからない。しかし「307」のロッカーに靴を入れ、いいサ活ができた時は気分がいい。施設を出る時、もう一度その数字を確認し余韻に浸ることができる。人とはおかしな生き物だ。

この「人数を制限する」ことは施設全体に行き渡っているnew normalだ。

休憩室の椅子は間隔が広がり、その数を減らしている。食堂のテーブルも数が減り、間には例のビニール製の仕切りが横たわる。職員はフェイスガードで接客する。近未来の世界が急に身近になったような光景である。

肝心のサウナ室であるが、私の行くほとんどの施設でサウナマットの枚数が減らされた。つまり、サ室に入ることができる人数が減ったのだ。入口と内部には「会話はお控えください」の張り紙が。一部の施設を除き、ロウリュもなくなった。

最大の変化は気のせい?

サウナ界にもnew normalが定着しつつあり、様々な変化がある中で私にとって最大のものは「サ室での皮膚感が変わった」というものである。

これは一言で言うと「サウナが熱すぎる」のだ。もちろん、施設によってサ室の温度は異なるものである。従って施設Aに行く時は、そのサ室の設備や温度を考えて時間や飲み物を調節する。その心構えが、最近ではよく裏切られるのだ。

端的に言うと、施設AもBもCも、とにかく全体的にサ室内の温度が高いような気がするのだ。現に1回目は12分入っていたサ室で10分ももたないとうことが最近頻発している。

これには考えられる理由がいくつかある。

可能性①:体の構造が変わった
可能性②:サ室の温度が上げられた
可能性③:人の出入りが減って結果的にサ室の空気が入れ替わらない

可能性①については、コロナ禍で運動量が減り、お酒を飲む回数が増えた。結果、体重が増えた。肌感覚も変わってくると思う。

可能性②と③は似ている。施設側が、人をなるべく早くサ室から出すように温度を上げたのかもしれないし、人の出入りが減り温度が上がり気味になっているのかもしれない。また、その両方ということも考えられる。

とにかく、New Normalでのサウナの感覚にはまだ慣れていない。サウナ→水風呂→休憩を繰り返すと相変わらず気持ちいいのだが、私はもう少しマイルドなサ室に長めに入り、冷たい水風呂でキュっと引き締めたい。

それに「会話禁止」の中で会話をする人、それに対して聞こえてくる「抗議の舌打ち」など、みんなで気持ちよくなる場所が今は少し刺々しくなることがある。

New Normalも時の経過と共に薄まっていくのかどうかわからないが、1日も早く心から穏やかなサ活ができる世界が来るように祈っている。

  

投稿者: 大和イタチ

兵庫県在住。不惑を過ぎたおやじです。仕事、家庭、その他あらゆることに恵まれていると思いますが、いつも目の前にモヤモヤがかかり、心からの幸せを実感できません。書くことで心を整理し、分相応の幸福感を得るためにブログを始めました。