電気
ジャケパンスタイルが好きな私は普段スーツを着ることがない。この日は雰囲気的にネクタイ着用なので、一張羅のスーツを身に纏って教室に立つ。目の前の生徒たちは緊張の趣で私に視線を送る。見慣れた生徒たちより少し幼い。目の前にいるのは中学3年生だ。
手元の資料に書かれた説明事項を読み上げて、放送が始まるのを待つ。沈黙が続く。「放送設備が壊れていたらどうしよう」「今、停電になったらどうなるのだろう」必要のない心配をするのは私に長年染みついたサガである。
しばらくしてスピーカーからアナウンスが流れてきた。緊張が少し解ける。
試験監督を行う間、正直に言うと退屈である。不正をしていいないか、調子の悪い子はいないか、立ったまま注意を払い続ける。脳の容量はまだ空いている。だから別のことを考え始める。
「電気が消えない」
この日はこんなことが頭に浮かんできた。
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