草津の百貨店

18切符 月日の経つのは速いもので、私と二人で旅行していた次男は今では何事もなかったかのように一人旅にでるようになった。この1年間を見ても広島、北海道、北陸と学校が長期休暇に入るたびに一人でどこかへ出かけ少したくましくな …

とりあえず最後

西へ向かう車内 朝一番の新幹線で私たち家族四人は西へと向かった。目的地は福岡市。前回新幹線に乗ったのは妻の二人の夏の山形旅行だった。この時も朝早くの新幹線で、列車が動き出すと缶ビールを開けてサンドイッチと共に朝食をとった …

東京デート

20年前の東京 約20年ぶりに妻と東京の街を二人で歩くことになった。いや、正確にいえば前回二人でこの街に来た時私たちは結婚していなかったため、私の横にいた女性はまだ妻になっていなかった。とはいっても彼女と私が結婚すること …

ヒヤリとした

家にいたい 私はブログに文章を書く。書きながら内なる自分と対話する。読んでいる人の反応を想像する。そうしながらキーボードをたたく。それを繰り返しながら月に5~6本の記事を書き続けてきた。 他者の存在の力を借りながら自分と …

30年

昼飯ハシゴ 天気予報によると週末の天気が崩れそうだった。私はこの週末、実家へ帰って田んぼの畔の草を刈る予定であった。前回の草刈りから約一ヶ月、初夏に入ると草の成長する速度が増してくる。 雨の日の草刈りは憂鬱である。合羽を …

オヤジにも明日がある

バイトに向かいながら 私は車を運転する時ラジオを聴いていることが多い。私の中でラジオを聴くということはNHKのAM放送を聞くこと。それも第2放送の方が圧倒的に多い。この日も自宅前に止めた車の中で朝の語学放送を流していた。 …

”三流シェフ”の街(後編)

ニシンの街 私と次男が留萌の街を訪問するのは今回で三度目であった。 最初は2021年の夏、札幌を朝一番に列車で出発し、この街でレンタカーを借り、すぐに羽幌方面へ向かった。羽幌線の廃線跡を見ながらドライブするのが目的であっ …

ありがたい話

駅間2.9キロ 今年最初のブログは「ありがたい話」から始めたいと思う。何がありがたいのだろう。それは端的に言うと「現代にこの国で生まれて暮らしていること」。昨年の終わり、そのことをしみじみと感じることができた。何でもない …

一瞬の出来事

静かな夜 「お父さん、少し外に出てきていいか」 お酒が入り、少しいい気分になった私に次男が尋ねる。 「どこ行くの」 「駅を見てみたい」 「気をつけてな。オレも後で行くわ」 2021年の暮れ、私と次男は二人で北海道を旅して …