次はダブルか?

師走最初の日曜

イタリア語検定は5級から1級まで途中準2級をはさむ6つの級に分かれており、5級から準2級までは毎年3月と10月に筆記試験が行われます。二次試験でイタリア語の面接がある2級以上は、秋のみ年に一度の開催です。

10月に受けた試験の結果は11月半ばに通知され、通常12月の第一日曜日に二次試験が行われます。筆記試験の自己採点を終え、一次試験合格を確信していた私は12月4日の予定を空けていました。

そして迎えた当日、私は神戸市内の街銭湯でたっぷりとサウナを楽しんで過ごしました。つまり、面接に行かなかった、いや行けなかったということです。なぜでしょうか。体調を崩したとか、交通機関が乱れたとかではありません。単に私が一次試験に合格しなかったということです。

11月にイタリア語検定協会のHPに発表された合格者番号を見て、私は自分の目を疑いました。私の番号が見当たらないのです。自己採点ではリスニング、筆記共に合格基準点に達していました。作文も、書くべきことは書きましたし、字数も充分150語に達していたはずです。

「マークミスか、それとも受験番号を記入していなかったのか、または大阪天満に行って受験したのは夢の中の出来事だったのか…」私はいろいろと思いを浮かべながら結果票が届くのを待ちました。

11月下旬に通知が届きました。自己採点通りリスニングはほぼ満点でした。筆記も合格基準点に達していました。では何がダメだったのでしょうか。残りは作文だけです。

「あなたの得点」の欄に「10」という数字がありました。合格基準点は「12」、平均点は「11.4」とあります。私の作文の得点は、合格にはあと2点足りませんでした。

私は昨年初めてイタリア語検定2級を受験しました。リスニングの途中で不合格を確信する出来でした。全ての項目で、まだ歯が立たないと思いました。

そんな中でも作文の出来が一番最低だと思いました。時間が全く足りなく、書きたいことも書けず、語数も足りていませんでした。殴り書きのような作文でした。

しかし返って来た結果を見ると、意外なことがありました。作文が20点満点中10点だったのです。「あの程度の作文で10点取れるのか」私はかなり安心しました。

「来年は必ず作文で基準点がクリアできる」去年の今頃そう思った私ですが、一年経って結果だけ見るとまったく成長していないことになります。

私は私の考えで目の前の現象を秩序付けて理解しようとしています。しかし、私の理解はいつも正しいとは限りません。私は私の前の現象の創造主に対して常に遅れをとった存在であります。簡単に言うと「採点基準がよくわからなく頭が混乱します」。

ダメージ?

2年連続で2級試験に落ちたわけですが、気持ちは意外とスッキリとしています。ブログを書き始める私なら、こんな時私の心の中は自分を責める言葉でいっぱいでした。

勉強しようと思ってもできなかった場面を思い出し、そんな自分を罵倒する言葉を投げかけます。それが一通り終わると、分不相応な次の目標を立てるのです。頭に血が上った状態で立てた目標を達成することなどできません。その後は、そんなふがいない自分に腹を立てて落ち込むもう一人の自分です。もうきりがありません。

ブログを書き始め、大和イタチという私のアルターエゴを立てて、読者のリアクションを想像しながら文章を書いていると、そんな以前の私の滑稽さがよくわかります。自分の存在がよい意味で軽くなった気持ちがしています。

そんなわけで今の私は「残念だった」という気持ちもありますが、逆に「あと1年、目標を持って勉強できる」という前向きな気持ちでもあります。

この一年間、淡々と勉強をしてきました。振り返ってみます。

私のルーティーン

写真左側の例文集は20年ほど前に買いました。20年間ほぼ放置でした。ページを開くと隅っこにポツポツと日付が見えます。日付が数年間とんでいます。それは私が数年に一度、思い出したようにこのテキストを開いて勉強していたことを示しています。

この例文集、今年2022年の一月から一日見開き6ページ行うことにしました。右側の答えを紙で隠しながら、左側の日本語をイタリア語に直していきます。前年の作文ができなかったのでその対策です。

休んでもいいやと思いながら軽い気持ちで続けると意外と続きました。20数年目にして初めて有効活用した感じです。一回伊訳するごとに「正」の字をつけていきました。10月の検定までには、30回近く通しでやっていました。今では800の例文のほとんどはすぐ伊訳できます。

右側の「口が覚えるイタリア語」は、今回も作文の点が低かったことと、二次の口頭試験の対策を兼ね、不合格通知のあった直後から始めました。すぐ口にできる例文をプラス500増やすつもりで、引き続き「例文800」と合わせて取り組んでいます。合計1300の表現を使うことができれば、二次試験も対応可能だと思います。

真ん中の「耳が喜ぶイタリア語」は「國広メソッド」を試そうと思い行っています。同時通訳の神様と呼ばれ、私の時代の英語学習者では知らない人がいない國広正雄さんは、曹洞宗の「只管打座」にちなんだ「只管朗読」という方法で英語を極めた方です。

これは、それほど難しくないテキストをひたすら繰り返し音読する方法で、理屈というより感覚で言語を体に浸み込ませていくものです。

「耳が喜ぶイタリア語」には、三つのレベルに分かれた合計110のテキストが掲載されています。私は今、これをひたすら音読しています。来年の受験までには100回は読みたいと思っています。

このように、試験に落ちた直後とはいえ、今の私は普段とそれほど変わりがありません。ブログに書くことで心の中を可視化して見ている効果もありますし、作文以外は十分に2級試験を突破できるレベルに成長したことも大きいです。

この1年間、それまでとあまり変わらなく過ごしてきたようで、実は成長していたのかもと今は思えます。

記念にいくか?

一次試験不合格の結果が来た日、一冊の本をアマゾンで注文しました。到着までに三週間かかると知らせが来て驚きました。昨日手元に届きました。

類語・反語辞典

ネイティブが使っている「類語・反意語辞典」です。2万5千の見出しに対して12万の同意語と3万の反意語が載っています。

今回、2級の筆記試験でいくつか語彙の問題を間違えました。市販の単語帳には「準2級レベルまで対応」と銘打っているものがあり、私もそれを使っているのですが、2級対策には物足りません。それに文法は一通り終わっているので、あとは語彙と慣用表現をいかに増やしていくかが勝負となってきます。

わからない単語に出会ったら類語辞典を見て、それらから語義を推測するという使い方をしています。ただ単に単語が羅列された無機質な本ですが、使ってみると意外に面白く感じられます。

それに同意語や反意語を見ていると、ラテン語をルーツにもつイタリア語と、同じくラテン語からの借用が多い英語の学術用語とのつながりが見えてきます。私は英語のネイティブスピーカーと仕事をすることがありますが、時々彼らが知らない英単語を私が知っていたりします。これもイタリア語のおかげです。

次のイタリア語検定まで10ヶ月です。

  • 検定用問題集を2~3回通し、文法の確認を行います。
  • 2冊のテキストで日本語→イタリア語の練習を20回通します。
  • 簡単なテキストを100回「只管朗読」します。
  • 類語辞典を使いながらイタリア語の文章を読みます。
  • YouTubeとPodcastで音声を聴きます。

10月までこれらのことを淡々と行っていこうと思っています。

私が20年前にイタリア語を始めた時、2級を目標に頑張ろうと思いました。その後たくさん遠回りをしてきました。何度も数えきれないぐらいの中断を再開を経験しました。その度に自分に対して腹を立ててきました。モヤモヤの原因の一つは間違いなくここにありました。

ここ数年、やっとイタリア語学習が軌道に乗り、目標としていた2級に手が届くところまでやってきました。そうなると、イタリア語との関係が変わってきました。「克服するための壁」のように思えていたものが「仲の良い友だち」に変わってきたのです。

私は今日もまた、時間を探してルーティーンを行います。2冊のテキストから合計100の文章を伊訳をして、その後は約20分の音読です。この所要時間が約60分。この時間の確保を意識しながら毎日過ごしています。

通勤の間は、英語と半々ですがポッドキャストを聞いています。休日は問題集をしたり、長文を読んだりです。なんだか受験生のような毎日ですが、まあ、それでもよいと思っています。

このまま上手くいけば、来年、記念に1級を含めてダブル受験してもいいと思っています。1級は特別で、私のレベルでどうにかなるとは思っていません。しかし、語彙とリスニング力が上れば、選択問題の部分なら一矢報いることができるかもと思っています。

何だか来年は2級に合格するような文章になってしまいましたが、今回の受験で手ごたえがあったことは確かです。ただ、あの作文の採点基準の謎を少しでも明らかにしておかないと、来年も同じ結果になりそうで怖いです。

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投稿者: 大和イタチ

兵庫県在住。不惑を過ぎたおやじです。仕事、家庭、その他あらゆることに恵まれていると思いますが、いつも目の前にモヤモヤがかかり、心からの幸せを実感できません。書くことで心を整理し、分相応の幸福感を得るためにブログを始めました。