簿記とカツメシ

日商簿記3級

人生は面白いものです。

半年前は考えもしなかったことが実際に起こり、そしてそのことが私を新しい世界に連れて行ってくれます。

満たされた暮らしをしているにも関わらず、私に常について回るモヤモヤ。それから逃れたくていろいろなことを始めました。このブログもその中の1つです。

何かにすがりたくて本を読み、ネットを検索しました。それらの中で、数多くの教えに出会い、心が震えたものは行動に移してきました。

英検を受験したり、衣類を根本的に整理したり、保険や預金を見直したり、明石焼きの勉強を始めたり。自分でも信じられないくらい自分を取り巻く環境が変化しています。

日商簿記3級の受験もその中の1つです。

「いつか明石焼きの店をやりたい」という思いと、最近ずっと見ている動画「リベ大」の両学長の教えとが繋がって、化学反応を起こしました。

その結果、私は今、加古川プラザホテルの一室で日商簿記検定3級を受けようとしています。しかも隣には妻もいます。

8月下旬、二人で簿記の勉強を始めました。1冊のテキストと問題集をシェアし、一緒に動画を見ました。似たもの夫婦なのでしょう。ほぼ同じ場所でつまずき、同じようなペースで克服していきました。もともと良好だった夫婦の仲も、更に向上したと思います。

迎えた当日、まだ弱い部分もありましたが、過去問では合格点をとれていたので、楽な気持ちで受験することができました。

合否はそれほど気にしていません。ダメならもう一度勉強すればよいだけです。それより、まだほんの入り口ですが、簿記という素晴らしい世界の一端を知ることができたことに感激しています。

  • 取引が発生した時、必ず「借方・貸方」の両方に勘定科目が表示され、金額は必ず等しい。
  • 「借方・貸方」にある勘定科目は、時間の区切りと相手の勘定科目により立場を変化させる。

以上の2つのことを知れただけでも簿記を勉強してよかったと思えます。この2点を私の目の前で起きていることに当てはめると、

  • 与えるものと受け取るもの、良いことと悪いことは同時に同量発生している。
  • 価値というものは、時間や条件で変化するものである。

ということを、実感をもって私に教えてくれるからです。実際、簿記の勉強を始めてから、毎日を過ごす気持ちが少し楽になりました。モヤモヤも減ったと思います。モヤモヤが今「貸方=負債」にあっても借方には何かそれと対をなす資産が存在するはずだからです。それに「借方・貸方」は入れ替わります。

受験を終え、私はさわやかな気持ちで会場を後にしました。

加古川デート

検定は昼前に終わったので、私たちは加古川の街を楽しむことにしました。

この街を歩くのは約10年ぶりです。前回も同じ印象を持ちましたが、この街も他の中小都市と同様に、中心街はかつての賑やかさを失っています。

しかし、それを嘆くのではなく、そんな中でも楽しみを見つけていくのが簿記を学んだ者の役目です。何しろ、全ては相対性の中に存在し、私が投げかけた視点が、私の受け取る景色を作り出しているからです。

人通りのまばらな駅前の商店街を二人で手をつないで歩きます。感謝の気持ちが湧き上がってきます。こうやって、何度、いろいろな街を二人で歩いたのでしょうか。

出会って、付き合って、二人で家庭を始め、家族が増え、子供たちに手がかからなくなり、またこうして二人の時間を過ごすことができています。

息子たちが小さい間は「自分の時間が無い」とか「二人でゆっくり街を歩けない」などの文句を言っていましたが、その経験こそが「今こうやって二人でゆっくり過ごせることの素晴らしいさを感じられる心」を作り出しています。まさに簿記の世界です。

私たちは旧西国街道沿いの商店街を歩き、貫禄のある定食屋へ入りました。加古川名物「カツメシ」を食べるためです。

創業明治三十年の文字が見えます

昨今のB級グルメブームの中、加古川一押しの一品がこの「カツメシ」になります。この「丸万」はその専門店ではなく、あくまで、どんぶりや麺類がメインの食堂の中で、メニューの一品としてのカツメシです。

それにしても、こういったタイプのいわゆる「個人経営の普通の食堂」が姿を消していっています。効率的で薄利多売なチェーン店ばかり増える中、とても貴重な存在です。

しかし、これも考え方を変えると、チェーン店が増えてくれたおかげで、普通の店が貴重に思えると言うこともできます。どうも何でも「借方・貸方」で考える癖がついてきているようです。これも行きすぎると思考が硬直するので、適当に考えることにします。

最高のコンビ 最高の休日

カツメシを注文し、ビールをチビチビと飲みながら待ちます。そして、揚げたてのカツの熱さとソースの酸味で、チビチビがグイグイに変わります。

箸休めにカツとご飯の間の茹でキャベツを挟みながら、カツをかじってはビールで流し込むを繰り返します。せっかく二人きりでのデートですが、話の内容は「この食堂に息子たちを連れてきたい、絶対喜ぶ、いつ来よう」そんなことばかりです。

結局二人になっても、二人ではないということです。家族が増えれば、心配の種も増えますが、その心配できるという環境もありがたい。また、私自身も自分のいないところで、両親のそのような心配りを受け続けて今日まで来たというところに思いが至ります。

私たちはいい気分で食堂を出ました。

英検と簿記の受験が重なり、かなりカツカツで余裕のないこの2ヶ月間も終わります。明日からはゆっくりと過ごします。

投稿者: 大和イタチ

兵庫県在住。不惑を過ぎたおやじです。仕事、家庭、その他あらゆることに恵まれていると思いますが、いつも目の前にモヤモヤがかかり、心からの幸せを実感できません。書くことで心を整理し、分相応の幸福感を得るためにブログを始めました。