奇数月の楽しみ

年に6回

奇数月の最初の週が終わる頃、私の心は弾み始めます。

「これから楽しみな2週間が始まる。やったー!」

もう十分にオヤジの年なのですが、夏休みを前にした子どものような気持ちになります。そう、奇数月の半ばには大相撲が開催されるのです。1年に6回、1回あたり15日、全部足すと90日。

ということは、1年の約4分の1は大相撲が開かれていることになります。実際は結構な数字ですが、始まったらすぐに終わり次の場所がなかなか来ないと思うのは、私がそれだけ大相撲が好きということを表しているのかもしれません。

大相撲開催中の2週間とそれ以外の2週間では、時間の進み方が異なるような気がします。客観性の代表のような「時間」ですが、その感じ方は主観に大きく依存していることを感じます。

正月が終わり、大相撲を見始める前なら「ああ仕事が始まる」とネガティブな気持ちになっていた私ですが、今は「もうすぐ初場所が始まる」というワクワク感の方が勝るようになりました。

特にこの場所は、ここ数年間、大栄翔、徳勝龍、玉鷲、栃ノ心と思いもよらぬ力士が初優勝を決めています。横綱として安定してきた照ノ富士に対して、今場所は誰がいい相撲を取ることができるのだろうと興味が尽きません。

テレビとラジオ

場所開催中の2週間は、私の生活スタイルが少し変わります。

私は普段、進んでテレビを見ることはありませんが、この期間は別です。休みの日、相撲中継を行っている時間はテレビの前にいます。BS放送では1時ごろから幕下の取り組みも見えます。たっぷりと5時間見たいのですが、家にテレビは1台しかないため、さすがにこれは一人の時しかしません。

しかし、幕内の取り組み時間は、テレビの優先権は私にあるという暗黙の了解があります。その他の時間帯は全て優先権を放棄しているので、それぐらいは許してくれます。

平日は仕事があるので中継を見ることができません。BS放送で朝4時から幕内全取り組みのダイジェスト版を放送しているので、それを録画して見ます。夜、誰もテレビを見ないとき、一人でお酒を飲みながら見ています。勝負に一喜一憂する私を、子どもたちが不思議そうな目をしてみています。

書きながら思い出しました。何十年も昔、私が子どもだった頃、相撲開催中に祖父母の部屋から大きな声が聞こえてきました。力士に声援を送ったり、贔屓の力士が破れて落胆する声です。

当時は、どうして相撲を見てこんなにも興奮できるのだろうか不思議でなりませんでした。子どもたちから見た今の私の姿は、私が見た祖父母と同じでしょう。確かに血はつながっています。

普段はi-podを持ち歩き、家の外では語学を中心に聴いていますが、相撲開催中はこれがAMラジオに変わります。ラジオの相撲中継は4時から始まります。就業時間であっても、外出中など聴くことができるチャンスがあればイヤホンを耳にします。

ラジオで相撲中継を聴いていると、アナウンサーの卓越した技術に感心します。多くの取り組みは10秒以内に終わりますが、その間に何が起こったのか、アナウンサーは臨場感たっぷりに伝えてくれます。

視覚に依存するテレビでは、無音の時間があっても許されます。しかし、ラジオでは基本的に2時間しゃべりっぱなしです。サッカーやラグビーのようにプレイが継続する競技と異なり、相撲は動きがあるのはほんの一瞬です。私は、言葉に興味があるものとして、ゲストや解説者との話をうまく交えながら、2時間を目一杯言葉で埋めるアナウンサーから学ぶことが多いです。

他に見る場所

自宅でのテレビ、仕事中チャンスがあればラジオ以外に私が相撲を見る場所があと2カ所あります。サウナと立ち飲みです。

サウナと立ち飲みは普段から通いますが、大相撲期間中は特に意識していきます。

仕事を早く切り上げ、時間給を取り、大急ぎで馴染みの立ち飲みに行きます。カバンの中にはベースボール・マガジン社発行の「大相撲力士名鑑」が入っています。

立ち飲みに着くと、常連客が「おっ、来たか」という視線で私を見ます。みんな私が相撲好きなことを知っているのです。

お酒を飲み、ああだこうだと話をし、取り組みの時間になるとみんな静かにテレビに集中します。そして、勝負がつくと歓声やため息。私にとって最高に楽しい時間です。

私はサウナ好きですが、決まったサウナに通い続けるということはありません。いろいろと体験したいので、神戸から姫路の間を中心に場所を変えながらサ活を続け、新たな場所を開拓しています。

しかし、大相撲期間中だけは冒険をすることをやめます。サウナ室のテレビが相撲以外の番組をやっていたら、ガッカリが大きすぎて整わないからです。

したがって、この期間中は、今までの経験上確実に大相撲を放送しているいくつかのサウナに絞って通います。1年の4分の1は相撲を行っているので、必然的にそれらのサウナに行く回数は増えます。だから回数券を買っています。

確実に相撲を見られるサウナを新たに開拓したいとも思いますが、やはり見逃したときのことを考えると勇気が出ません。このブログのコメント欄をオープンにする日がきたら、募集してみようかとも思います。

初場所も今日で前半戦が終わり、明日は中日です。照ノ富士は相変わらず強いですが、宇良や大栄翔は横綱相手に素晴らしい相撲を取りました。御嶽海や阿炎も好調で、後半戦が楽しみです。

私は40半ばにして大相撲の魅力に取りつかれました。ずいぶんと遅いデビューで、もっと早く気づけばよかったと思いますが、気づけないよりはましです。

今は、これから生きている限りずっと年に6回大相撲を見ることができる、そう思うと楽しみでたまりません。私の好きなスキーやバイクは、年とともにできなくなってくるでしょうが、相撲に関しては死ぬまで楽しめます。願わくば、サウナや立ち飲みと一緒に楽しめるように楽しみたい。そのことだけでも、健康を保つ大きな理由になると思います。

投稿者: 大和イタチ

兵庫県在住。不惑を過ぎたおやじです。仕事、家庭、その他あらゆることに恵まれていると思いますが、いつも目の前にモヤモヤがかかり、心からの幸せを実感できません。書くことで心を整理し、分相応の幸福感を得るためにブログを始めました。