ワクワク2週間

奇数月

この4~5年、奇数月が楽しみになった。月が替わり、カレンダーをめくると日曜日の並びを見る。そして「3月13日が初日か」という具合に大相撲の開催日を確認をする。

このカレンダーは、日本相撲協会が作っているもので、ありがたいことに妻の友人が毎年持ってきてくれる。予算がないのかコロナの影響なのか、今年のものは写真が少し古く、画像が不鮮明であるが文句は言わない。

場所が始まると私の機嫌がよくなる。普段テレビを見ない私であるが、この時ばかりは特別で、チャンネルの優先権は私にある。テレビをみる場所は3カ所ある。自宅、サウナ、馴染みの立ち飲みである。

自宅では平日は早朝にやっている幕内のダイジェスト版を録画したものを楽しむ。休日は条件が許せば1時のBS放送から、途中地上波に変わって6時まで見続けることになる。

サウナは、開催期間中は確実に相撲中継を映すところを選んで行っている。しかし、時にはアクシデントもあるもので、この前の日曜、千秋楽までもつれた優勝争いをサウナと一緒に堪能しようと思ったが、サウナ室に入ると、テレビは何と「いないいないばあ」をやっているではないか。

おそらく高校野球の続きでそうなったのだと思うが、サウナー達がこの子供番組をみてととのうとは思えない。早速フロントに内線をかけてチャンネルを変えてもらった。確実と思っている場所でも、時にはこういうことがある。

馴染みの立ち飲みは、開催期間中行く回数が増える。常連たちも私が相撲好きなのは分かっているので話を合わせてくれるし、チャンネルを変えろとは言わない。

最近は取り組み表を印刷したものを持って行き、ああだこうだと話しながら観戦している。酒を飲みながら見る相撲は、またいいものだ。

若いころはまったく興味がなく、むしろ「どうしてあんなものを何時間も見るんだろう」と思っていた相撲であるが、40代も半ばに差し掛かる頃から突然その魅力が分かり始めた。

人は変わっていく。周りも自分も。そのことがとても面白く感じられる。

頭に浮かぶこと

ダラダラと、しかしワクワクしながら相撲を見ていると、いろいろなことが頭に浮かんでくる。多くは取るに足らないようなことだが、しょうもないことに言葉をつけて想像力を刺激するのもまた楽しい。

いくつか書いてみる。

相撲人形

最近は阿炎の活躍が凄まじい。先場所は優勝争いに絡み、今場所でも力強い相撲を見せてくれた。長い両腕から繰り出される突きを見ていたら「阿炎人形」というおもちゃができないかと思った。

力士の姿をした人形で、左右の腕を交互に出しながら前に進んでいくのだ。この阿炎人形と戦わせるのは「貴景勝人形」で両手を同時に出して突きを行う。そして3回突きを出したら左手から張り手がやってくる。

力士ではないが似たようなおもちゃはあるので、その気さえあれば比較的簡単に作ることができると思う。動力は電池かゼンマイで、専用の土俵の上で戦わせて遊ぶのだ。

息子たちが小さいころ「ベイブレード」というコマが流行った。あんな感じでさまざまなタイプの力士の人形を集めて戦うのだ。テーマは「大人のベイブレード」。

しょんぼり

今場所は貴景勝・正代の二大関がカド番でスタートした。うすうすは予感があったが、正代の前半戦は力が出せずに黒星が先行した。負けを重ねる正代の顔をみていたら「しょんぼり正代」という言葉が浮かんできた。土俵を後にする彼の表情を一番よく表す言葉が「しょんぼり」だった。

そんな彼が後半立ち直った。理由は分からないが、私の中では一人のファンの応援だと思っている。中日の正代戦を私はサウナ室で見ていた。ファンが掲げた応援メッセージに感動的な言葉が記されていた。

正代直也の「直」は「立ち直る」の「直」

私は思わず吹き出した。しかし、その日正代は霧馬山に勝った。そしてそこから連勝を重ねて、終わってみればカド番脱出。前半に成績の良かった貴景勝よりも多い勝ち星となった。

私は中日にファンが見せた言葉のセンスに脱帽した。そして「しょんぼり正代くん」というキャラが浮かんできた。彼はクリアファイルなどの文房具に登場する。

「しょんぼり正代君」は、伏し目でさえない顔をしている。あの負けた後、土俵を去る時の顔だ。しかしその下にはあの言葉がかかれている。『正代直也の「直」は「立ち直る」の「直」』

しょんぼりしていてもいつかは立ち直る時がくる、そんな希望をもつことができるキャラクターである。

わかたかブーム

平成の最初、若貴ブームが起こった。今はどちらも相撲界を離れてしまったが、若乃花・貴乃花兄弟が大活躍をし、多くのファンが生まれた。国技館は連日「満員御礼」で、私は違っていたが、若者の間でも相撲が流行った。

今、私の中では「わかたかブーム」が起きている。今回の「わかたか」は若隆景である。

私はかねてからこの力士に活躍してほしいと思っていた。理由は、幕内で一番男前であるから。凛々しい顔立ちや所作、筋肉質の体つきと、非の打ちどころがないくらいカッコいい。彼が活躍して若い女性のファンが増えれば相撲界全体が盛り上がる、そう期待しながら若隆景を見ていた。

その願いが叶い、今場所は見事な優勝を飾り、私は今幸せである。

女子高生たちも「キンプリ」とか「なにわ男子」ばかり見ないでほしい。相撲界にも若隆景を始めとして、飛猿・炎鵬・遠藤といったイケメンたちも多い。

以上のような取りとめもないことを考えながら相撲を楽しんだ二週間であった。今は相撲ロスを感じているが、五月場所が楽しみな気持ちが半分ある。

興味を持ったのは遅かったが、これから生きている限り、こうやって1年に6回相撲を見続けられると思うと「人生捨てたものじゃないな」と思えてくる。願わくば、サウナや酒と一緒に楽しめるように健康に気をつけたい。

投稿者: 大和イタチ

兵庫県在住。不惑を過ぎたおやじです。仕事、家庭、その他あらゆることに恵まれていると思いますが、いつも目の前にモヤモヤがかかり、心からの幸せを実感できません。書くことで心を整理し、分相応の幸福感を得るためにブログを始めました。