太平の湯

新しい職業

世の中には”プロサウナー”と呼ばれる人がいます。

「サウナに入るのにプロもアマもあるかいな!」
と突っ込みを入れそうになりますが、実際に様々な媒体に記事を書いたり、セミナーを行いサウナ啓蒙活動を行うなど、サウナが「職業的=プロフェッショナル」となっておられる方のことをそう呼んでいるようです。

そういう方は「年間300サウナ」とか「毎日朝晩2セッション」といった、私のようなサ道ビギナーには信じられないような回数のサ活をされているようです。

温めた体を冷やすことで、血管の拡張と収縮が起こり、それを交互に何度が繰り返すことで体中で血の巡りが良くなる。
サウナの効果はこのように説明されています。
良好な血液循環は体によさそうですが、果たして短時間の間に欠陥が拡張と収縮するのはいかがなものでしょうか、と素人の私は思います。

なんだか、ゴムを伸び縮みさせているうち劣化して切れるようなイメージで、年間300セッションなんて聴くと、血管大丈夫なのかなと心配になります。
プロサウナーの人は、そのあたりも考えて、血管の強化を含むような体づくりを行っているのかもしれません。

情報機器とそれを取り巻くシステムが変化し、誰でも自由に発信できる時代、今まで想像もつかなかった新しい職業が生まれ、それが成り立つようになってきました。

ブロガーやアフィリエイターもそうですし、今までニッチ過ぎて紙の媒体による情報発信がコスト的に不可能だった分野でも、ネットを利用することで利益を上げられるようになってきたのでしょう。
プロサウナー、まさに最先端の職業の形です。

よだれが…

前置きが長くなりました。
回数的にはプロサウナーの足元にも及びませんが、私もサウナを体が求めるスパンがだんだんと短くなってきている、という前振りのつもりで書こうとしましたが、違った話になってしまいました。元にもどします。

欲求の高まりは現在週1程度です。年間に直すと52回。
去年までは、月1回も行っていなかったので、生まれてから最も高い頻度でサウナに通っています。

最近は明石の「龍の湯」に何回か行きましたが、今日はもう二駅隣、神戸市垂水区の「垂水温泉太平の湯」でサ活をしてきました。

アウトレット マリンピア神戸
太平の湯から見たマリンピア

垂水駅から約徒歩10分、すぐ隣にはアウトレットモール「マリンピア神戸」があり、大勢の人で賑わっています。

自販機で麦茶を買い、2階の浴室へ上がり、1週間ぶりのサウナとご対面!最近は木曜あたりになると、早くサウナで汗を流したくて、正確には熱い体を水風呂で冷ましたくてウズウズしてきます。

「サウナの醍醐味は水風呂」と言われますが、最近そのことを実感できるようになりました。以前は、サ室の後水風呂に入ったり、入らなかったり、膝までだったりなのですが、サ道に目覚めてからは、かかり湯の後一気に肩までいけます。

今日も8分間のサウナの後、16℃の水風呂へ。
2分間の後浴槽から上がり、手桶で水風呂の水を数回、頭の上からゆっくりとかけます。
髪→頭皮→顔→首筋へと冷たさが伝わり、何とも言えない気持ちよさです。3回、4回とかけるうちに、なぜが口が半開きになってヨダレが出てきます。

別に意図的に出しているわけではありません。口の周りが勝手にそういう状態になってしまうのです。下を向いていますが、少し恥ずかしいです。
自分でも知らなかった体の反応と気持ちよさをこの年になって発見しました。

水風呂の後は露天へ出て小休憩です。
ここにはととのい椅子や木のベンチの他に、石製の長椅子もあります。

素材は磨かれた御影石、断面図は「凹」という漢字を立て向き半分に切った感じ。つまり背もたれがあります。そして背もたれの一番上からお湯が流れて来て背中を温めます。

背中やお尻は温かいまま体の前面に風を受けるのもいいかな、と思うのですが、定員4人ほどのこの場所は競争率が高くなかなか座ることができません。代わりに露天風呂の淵に腰を下ろして小休憩します。

青い空にうっすらと一筋の雲が見えます。

普段は何とも思わないことでも、こうしてリラックスした状態では別の感情が湧き上がってきます。
”私が空を見上げた時、青一色の単調にならないように、ああやって雲がちょっとしたアクセントをつけてくれているんだ。ありがたいなあ。”

中年オヤジをこんな気持ちにさせるサウナって偉大ですね。

太平の湯
太平の湯 空にはうっすらとした雲

イレギュラーなセッション

約2時間半の滞在の後、入り口前のベンチに腰掛け水分補給しているときでした。

頭がジーンとして、意識はしっかりした状態で体から離れていくような感覚を味わいました。
思わず目を閉じてしまいたくなり、そのまま目を開けたくないような気持。聴覚が外の音を遮断し、体の内なる音を拾い集めているような感覚。

私は、1分ほどそのような感覚を味わいました。

これが、サウナトランス、いわゆるととのった状態であるとは思いません。様々な人の体験を知ると、それはもっと大きく深いものであると推測されます。

しかし、この椅子の上で得た感じは、私にとって、今までで最も”ととのった”に近づいた経験でした。

太平の湯玄関の椅子
この椅子で”ととのった”に近付いた

話はここまで順調なのですが、困ったことが一つあります。

今日のサ活の何がよかったのか分からないのです。

私は、サ室→水風呂→小休憩と水分補給を時間考えながら繰り返すのですが、今日は全くそうではなく、かなりイレギュラーなセッションの仕方をしてしまったのです。

原因ははっきりしています。

サ室と更衣室のテレビで、大相撲を放送していたからです。

今日は秋場所初日でした。

復帰した貴景勝の調子は?
栃の心は踏ん張れるのか?
先場所好調だった炎鵬は?

滞在した時間帯が大相撲中継ともろに被っていたため、気になってしょうがありません。
体の温め方も12分計を基準にするのではなく、力士の取り組みと勝負によって変わってきます。お茶を飲みに行った更衣室でダラダラと勝負を見たり、見たい力士に合わせて小休憩を省いたり、「お前は何しに来たんだ」とプロサウナーに叱られてしまうかもしれませんが、今日の私は「サウナと大相撲の両方を楽しみに来ました」。

白鵬が北勝富士に敗れる番狂わせが後など、興奮したまま次の鶴竜・遠藤の対決が見たくて、水風呂30秒で切り上げてサ室へ逆戻りです。

本当にイレギュラーで粗雑な入り方だったのですが、結果的には今までで一番ととのうに近い体験をしました。

皮肉なものです。考えて求めているときにはやってこなくて、適当にやっている時にその尻尾を見せてくる。
本当に奥が深いし、肩ひじに力が入っていてはダメなのだと痛感させられる体験でした。

モヤモヤ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ 幸せ?

”計算して、その通りに行動すれば幸せになるというものではない”。


投稿者: 大和イタチ

兵庫県在住。不惑を過ぎたおやじです。仕事、家庭、その他あらゆることに恵まれていると思いますが、いつも目の前にモヤモヤがかかり、心からの幸せを実感できません。書くことで心を整理し、分相応の幸福感を得るためにブログを始めました。