ランニングで試行錯誤

最後のサウナから1か月

本当に僕たちの住む世界ってあっという間に変化してしまう。そのことを痛感してしている。3か月前はサウナに行けなくなる状態になるとは全く思っていなかったし、日本にコロナウィルスが入ってきてからもサウナは大丈夫だろうと勝手に思っていた。

それが今では、サウナどころかスーパーに行っても人が多ければ買い物を諦めるし、仕方なく電車に乗ってもマスク着用は当然、手すりや吊革には触れず、加減速の度に下半身に力を入れて慣性の法則と戦っている。

最後にサウナに入ってもう一月が経過してしまった。背中から腰にかけて肌にぶつぶつができている。もともと肌が弱いので季節の変わり目に肌が反応した可能性もあるが、僕の中では「サウナに行けないため」ということにしている。

「次サウナに入るのはいつかなあ」と想像してみる。平穏な日々がやってきたら、休日1日かけてサウナに行きたい。「神戸サウナ」か、大阪か名古屋まで足を延ばすか、または西へ向かうか。想像力は膨らんでいく。

「今サ室に入れば、自分至上最高にドロッとした汚れた汗がでるだろうな。その後の水風呂の気持ちよさといったら…」と頭に思い浮かべてニヤリとするが、現実的にはサ室の扉はまだまだ遠そうだ。

僕は気持ちを少しでも紛らわすためにランニングを続けている。

まだコツはつかめないが…

サウナに行けない ⇒ イライラする ⇒ 汗をかくことをすればいい⇒ ランナーズハイという言葉もあり気持ちいいはず、単純な発想で始めたランニングではあるが試行錯誤を繰り返している。

走り始めてまず気が付いたことは、十分に汗をかくことは難しいということ。15分ほど走って汗をかいた後日陰で休憩すれば、サウナと水風呂のような効果が得られるのかと思ったが、なかなかサウナのようには発汗してくれない。

半袖Tシャツとジャージで走っているが、4月だというのに肌に触れる風は冷たく、特に振り回す腕はそれを感じる。夕方の通りには数多くのランナーたちが走りを楽しんでいるが、僕のように腕を直接外気にさらしながら走っている人は少ないことに気が付いた。

カッコよく見えるランナーは皆半袖・半ズボンであっても、その下に肌にぴったりと密着した長袖のシャツやレギンスのようなものを身に付けている。色は黒が多い。というか、ほとんど黒だ。

シュッとしてスマートに見える黒地の上に色鮮やかなシャツを着るのがランナー流なのかと思うが、2か月前に”コンマリ流”片付けを行った僕は、その時唯一持っていたそれらしい野球のアンダーシャツを「子供が少年野球を卒団したからもう使わないだろう」という理由で処分してしまっていた。

人生何が急に必要になるかわからない。普段ならすぐにスポーツショップへ行くのだが、今はなるべく店には行きたくないし店も開いていない。仕方なく素人っぽくなるが(素人以外の何物でもない!)普通の長袖Tシャツを着て走ってみる。

走り始めは30分程度から、慣れてくるにしたがって今は1時間弱、歩数にしたら1万歩ぐらいになる。気温の上昇もあってか、始めた時に比べたら汗をかくようになった。しかし、サ室のようにはいかない。もう少しペースを上げるべきなのか、距離と時間を延ばすべきなのか、はたまたインターバルのようなことをするのか、いろいろ試そうとするが方向が定まらない。

確か村上春樹の本があったはず…

10年ちょっと前に村上春樹にはまったことがあった。その時期は英訳判も含めて彼の本ばかり買って次から次へ読んでいた。小説だけではなく、対談やエッセイ集も数多く買って読んだ。

その中のどれかに、ランニングの気持ちよさに関するエッセイがあったような気がする。何かランニングに関してヒントを得ることができるかもしれない。

僕は押し入れの中、クローゼットの奥を探した。今まで平均的な大人よりは多くの本を購入してきたと思うが、子供たちの成長と物の増加に合わせて多くの本はブックオフへ売られるか、これら見えない場所へ追いやられた。本棚に入るのは未読本かよく手に取られる本で、村上春樹は最近読んでいなかった。

何冊かエッセイ集が出てきた。目次を見てもランニングに関する記事は見当たらない。代わりに巻末の広告を見て彼が「走ることについて語る時に僕の語ること」という本を出していたこと、そして僕はその本を買っていないことを思い出した。

ものすごくその本が読みたくなった。村上春樹ほどの人がランニングについて語るのだ。きっと何か深淵な世界があるに違いない。書店が開いていたら明日にでも買いに行こう。

肝心のサウナの代替となる”気持ちよさ”であるが、まだ僕にはわからない。気持ちよく汗を大量にかく、ということが関係ありそうな直感はあるが、そこまでの道のりが見えない。

気持ちよさはわからないが、2日間走らなかったら体がむずむずして気持ちが悪い気がする。バイクや車をたまには動かしてやらないとエンジンや冷却系の調子が悪くなるように、肺や心臓が定期的な負荷を求めてきているのかもしれない。

バイクはオフシーズンは2週間に1度動かしてあげればよい。それにしても2日走らなかったら気持ち悪くなる血液循環系って面倒な気がする。ランニングを始めるということは、結構ヤバい世界に足を踏み入れることの予感がする。

投稿者: 大和イタチ

兵庫県在住。不惑を過ぎたおやじです。仕事、家庭、その他あらゆることに恵まれていると思いますが、いつも目の前にモヤモヤがかかり、心からの幸せを実感できません。書くことで心を整理し、分相応の幸福感を得るためにブログを始めました。