思い込み
私は、自分は頭の固い人間だと思います。勝手にいろいろな思いこみを作り、その枠の中で行動を制限され苦しむことを続けてきました。無関係に見える二つの事柄の中に関係を作り出し、間違った行動をした時そのスイッチが入ることに怯えながら生きてきました。
例えば朝家を出る時、私は決まった動作で決まったことを考えながら玄関を後にします。そうしないと何か悪いことが起きるのではないかと不安になるからです。食事を食べるときもだいたい同じ順番で食べます。語学学習を行うときもそうです。必ず単語や熟語を音読することから始めます。定食屋さんでは、迷った挙句いつも同じものを注文します。一度自分がこうしたほうがよいと思ったことがあると、それから逸脱することに不安を感じるのです。
慣性の法則が人間の心にも働いているのではないかと思います。では、最初にその場所まで私を連れて行ってくれたものは何なのでしょうか。あることに対して凝り固まった状態になる前は、私もいくつかの新しい挑戦を重ねてきたはずです。
それが、ある時ある場所で決まった形になり、しばらくそのことが続くとそれから離れることができなくなるのです。常にニュートラルで新しいものを受け入れられる人には理解しがたい感覚かもしれません。私の心は粘性が強く、新しいものを受け入れるまで長い時間と労力がかかるのです。しかも、時に手放すことなく受け入れようとして苦しむこともあります。このような心の動きを「執着」というのかもしれません。
これから私が30年間囚われ続けていた執着について書こうと思います。
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