居酒屋アーバンライナー

新幹線もいいけれど…

こんにちは、大和イタチです。
名古屋へサウナに入りに行ってきました。
その帰り、名古屋ー大阪間は近鉄を利用しました。

一般の人はこの区間を公共交通機関を利用して移動する時、何を用いて移動するのでしょうか?

交通機関新幹線(のぞみ)近鉄特急ハイウェイバス
所要時間約50分約2時間約3時間
運賃¥6,350¥4,260¥3,000
運行頻度6本/h2本/h1本/h

手元のJTB時刻表をを元に上の表を作成してみました。
運賃は通常期、頻度は平日昼間の時間帯で拾い上げました。
新幹線は他にひかりや臨時列車が、近鉄特急は他に阪伊・名伊特急の接続が、バスは時刻表に載っていない他の業者もあると思います。

時間と頻度なら新幹線、値段ならバス、その中間が近鉄特急といったところでしょうか。大阪のどの場所から利用するかによっても変わってくると思います。

私は鉄道が好きなので、JRか近鉄の選択になりますが、時間が許せば近鉄を利用することにしています。
名古屋→大阪難波間を近鉄特急に乗り、そのまま阪神電車に乗り換えです。阪神なんば線が開通して、阪神・山陽電車沿線住民は近鉄との距離が、時間面、心理面の両方で近付きました。

名古屋へ行く時だけではなく、東京方面から帰宅するときも、時間が合えば名古屋で下車し、近鉄特急に乗り換えることがあります。

だいたい名古屋発16時~19時のアーバンライナーに乗り、その中で名古屋名物をつまみながらお酒を飲むのです。
私はこれを「居酒屋アーバンライナー」と呼んでいます。

適度な時間とスピード

大阪ならともかく、兵庫県に住む人で、私のように東京から帰る途中、わざわざ名古屋で近鉄に乗り変える人はマニア以外皆無でしょう。
私も同行者がいれば、もちろんそのまま新幹線で帰ります。
時刻が夕方なら、一緒にお酒を飲みながら。

しかし、一人の時、新幹線でお酒を飲んだりお弁当を食べるのはあまりウキウキした気分になりません。「中年オヤジがウキウキしなくてもいい」という声が聞こえてきそうですが、旅行好きとしてはせっかくの移動時間を楽しく過ごしたい。

私が考えるに、新幹線はスピードが速すぎるのだと思います。
1人列車に乗り、外の景色を見て、目に映るものに思いを馳せながらお酒を飲むのが大好きです。
東海道は歴史の宝庫なので、列車からも見るべきものは数多くありますが、如何せん275キロのスピードです。
「今渡った川は揖斐川、木曽川、どっち?」なんて考えているうちに、また次の見るべき景色がやってきて慌ただしい。
「新幹線の高架の上を、アーバンライナーぐらいのスピードで走ってくれたら、とてもおいしいお酒が飲めそう」とよく思います。

その点アーバンライナーは、最高時速130キロ、新幹線の半分以下で、所要時間も名阪間で丁度2時間と、まさに居酒屋の飲み放題の時間と一緒です。
名古屋を夕方に出発することが多いため、景色は途中で見えなくなることが多いですが、何度も通った近鉄大阪・名古屋線です。窓の外の明かりや、通過駅の雰囲気を頼りに現在地の昼の景色を想像するのもまた趣があります。

何でもスピードと効率を求める時代にあって、私のような行動様式は常軌を逸しているに違いありません。
しかし、この酔狂が時に私の心を癒す一助となることもあります。

そんなわけで、今回ウェルビー栄でサウナを堪能した後も、「居酒屋アーバンライナー」の暖簾をくぐりました。

心地よい2時間

アーバンライナー
居酒屋アーバンライナー

いつもは名駅の高島屋や名鉄百貨店の地下で、名古屋名物を調達するのですが、今回は時間がなく手ぶらのまま駅へ。

夏休み中の土曜だからでしょうか、名駅周辺はすさまじいほどの人出です。おそらくデパ地下もごった返していたことでしょう。
近鉄名古屋駅構内の売店も10人ぐらい並んでいます。一瞬で弁当と飲み物を決め、列に並んで清算を済ますと、出発時刻3分前でした。
次回はもっと余裕を持って飲み物とあてを買おうと心に誓いました。

席へ着き、出発を待ちます。
地下トンネルを抜けたところで、缶ビールを開け、一人乾杯!
ここから10分ほどは、近鉄・JR両方の車両基地や並行する関西本線がよいつまみとなり、目が離せないため、弁当は開けずにビールと車窓に集中します。

サッポロ黒ラベル
まずは車窓をつまみにビールを楽しむ

木曽三川を渡り終えたところで、弁当を開けます。
ここは名阪間の中でも最大の見どころで、長島を挟んで2つの(三川が河口で2つになっている)大河を長大な鉄橋で超えていきます。
川上を通過する新幹線や東海道線より橋は長く、水量も豊富で、日本にこのような場所は他にないと思います。
この水量の中、トラスを支える数十本の橋台一つ一つの下に基礎工事がなされているのです。橋は、水上に出た見える部分より、見えない部分の工事の方がはるかに大変であると聞いたことがあります。
木曽川左岸から揖斐川右岸まで、数分で通過してしまうのがもったい気がします。まあ、建設した人は、その速さで通過できることを目指して頑張ったのですが。

幕の内弁当
味噌カツ入り幕の内弁当

急いで買ったお弁当を開けます。
幕の内弁当は、様々なおかずが少しずつ入っているため、つまみに丁度良いです。

少し窓の外が暗くなり始めましたが、四日市のコンビナート、塩浜のタンク車、伊勢若松の鈴鹿線分岐、JRを超える高架の上から見える津の街並みと、要所要所の景色を確認しながらお酒を進めていきます。

2本目のビールが空くころ、鉄橋を渡り減速の後右へ大きくカーブしていくのがわかります。
中川短絡線通過です。
外は暗く明かり以外何も見えません。列車は青山峠へ向かってスピードを上げていきます。

お腹も満たされ、適度に酔いも回った私は、青山トンネル通過を確認した後、軽い眠りにつきました。
この、酔ってきたころに30~40分間ウトウトできるのもアーバンライナーのよいところです。そのまま眠っていても終点で起きればよろしいし。このうたた寝、博多まで行ってしまう新幹線では勇気のいることです。

目が覚めると、大和八木付近でした。
酔いを醒ますつもりで水分を取り、窓の外の景色を眺めます。

高田、香芝と奈良盆地南端の小さな街をかすめながらアーバンライナーは進みます。
県府境のトンネルを抜け、大和川を渡るともう大阪都市圏です。

新幹線だと50分で着いてしまう距離を、飲んで食べてうたた寝をして、丁度良い気分になりながら、2時間かけて到着しました。

居酒屋アーバンライナー、なかなか味のあるお店です。
速度よし、景色よし、全席指定で立ち客なし。肝心な味は、乗る人次第となります。
また、機会を作って行ってみようと思います。

モヤモヤ ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ 幸せ?

”速さと効率重視の世の中で、遊び心を持って時間を消費してみる。”

投稿者: 大和イタチ

兵庫県在住。不惑を過ぎたおやじです。仕事、家庭、その他あらゆることに恵まれていると思いますが、いつも目の前にモヤモヤがかかり、心からの幸せを実感できません。書くことで心を整理し、分相応の幸福感を得るためにブログを始めました。