令和六年五月場所

楽しみにしていた五月場所も一瞬のうちに終わってしまいました。いつものように15日間での気づきをダラダラと記します。

落差

力士たちは体の調子をギリギリのところまで整えながら勝負に挑み、その歯車が少し崩れると十分に力を出すことができないのだと思います。今場所途中休場した霧島関を見ているとそんなことを感じさせられます。

令和五年は霧島の年でした。春場所で優勝し、夏場所で11勝をあげて、名古屋場所では新しい四股名をもらうと共に大関として闘いました。十一月場所では二度目の優勝を果たし、あれよあれよという間に綱取りを目指す状態になりました。

私は数年前から次の横綱は霧馬山か豊昇龍のどちらかがなると思っていましたが、今年に入り圧倒的に霧島が有利と感じました。

しかしです、初場所は優勝争いをしたものの三月場所で5勝10敗、そして今場所では1勝しかあげることができませんでした。詳しい動きは解説できませんが、なんだか先場所から相撲を見ていて力が入っていないように感じていました。

新たな四股名をもらい、師匠も代わり、地位の重さもあり、私たちの考えられないような重圧の中で勝負をしているのだと思います。

ゲガを治して体を整え、名古屋場所で10勝以上あげてほしいと思います。

オセロ・オルタナ

行きつけの飲み屋さんの常連がかつて正代関のことを「オセロ好き」と呼んでいました。その心は「カドを取りたがる」というものでした。

令和二年の十一月場所で大関に昇進した正代関はそこから2年間の間、勝ち越しと負け越しを交互に重ねて5回の角番大関を経験したのち関脇に陥落しました。当時は見ていて苦しそうで、番付を下げた今の方がなんだかリラックスして力を出しているように見えます。

それだけ大関の地位は重いということなのでしょうが、現在その圧力に霧島関と並んで苦しんでいるのが、我が兵庫県出身の大関貴景勝関です。

今場所も初日に平戸海に敗れ、二日目には休場してしまいました。これでまた名古屋場所はカド番でむかえることになります。変な言葉を使って申し訳ないのですが、私のなかに「オルタナカド番」という言葉が浮かんできました。

貴景勝関は優勝4回の実力者です。それでもカド番と正大関を繰り返すということは、年6場所とその合間の巡業がいかに厳しいスケジュールであるのかと思います。頸椎を痛めているということも気になります。私の大好きな炎鵬関も同じ場所の故障によりほぼ最下位まで番付を下げてしまいました。

二人の力士共に、早く怪我が完治することを祈って已みません。

麻雀打ちたい

私は高校生の時、友だちとよく麻雀をしていました。大学でもたまに打ち、働き出してからは全くしなくなりました。数年前に息子たちにせがまれて久しぶりに打ちました。

最近のこの力士を見ていると「また高校や大学のときの友達と麻雀うちたいな」と思います。阿武咲関です。彼の背中の模様がパーピンに見えて仕方がないのです。おそらく筋肉を整えるための施術の跡でしょう。大きな背中に二つの丸が四列並んでいます。

変なことを考えてすみません。しかし、相撲をぼんやりと観戦しているとそんなことも頭に浮かびます。私にとって幸せな時間です。

二つの富士

先場所で大記録を作った尊富士関は、今場所全休でした。一四日目に負傷したものの千秋楽に無理をして出場、見事優勝したのですが、そのとき痛めたじん帯が回復しきっていなかったようです。

若い力士が活躍してくれるととても嬉しい気持ちになります。私は尊富士関を応援するためにTシャツを作成しました。前回「伊勢ケ浜部屋Tシャツ」を作成した際、失敗したTシャツがあったのでそれを再利用しました。

前回より大き目な富士山を作り、そこに「尊」を表す「TKR」の刺繍を施しました。

普段裁縫を全くしないので細かいところの仕上げがちぐはぐです。素人感満載の作品です。

前回のTシャツは「翠富士」「錦富士」「熱海富士」の三力士を並べましたが、今回は「尊富士」一人です。その代わり、裏側には私の好きなあの力士を付けました。

写真では分かりにくいのですが、真ん中の「T」はキラキラと輝いています。スマホのアクセサリーショップで買いました。キラキラと輝く「宝」物のイメージです。そう、この富士山は宝富士関を表しています。

しかし、単なる「T」だけでは「尊」なのか「宝」なのかが区別できないため、頂上の雪の形にアールをつけて宝富士関の額の形にしました。

素人の作った不格好なシャツですが、私の気持ちは上っています。尊富士が復活し、宝富士が今場所同様に活躍することを願いながら、来場所これを着て名古屋に行こうと思っています。

若き日の…

場所が始まる直前の週にNHKの「どすこい研」という番組が放送されます。これは毎回相撲に関するテーマに沿って調査を行い、それを司会と元力士たちのコメンテーターが、現役力士のインタビューを挟みながら解説していく番組です。

私たち夫婦はこの番組を毎回楽しみにしていて、一緒にお酒を飲みながらよく見ます。今場所直前の番組のテーマは「寄り切り」でした。見ていて妻が「あーっ!」と声を上げました。横綱貴乃花が寄り切りを決める場面でした。妻は何かを見つけたようです。急いで巻き戻して見てみます。そこにいたのは土俵赤房下の「呼び出し次郎さん」の姿でした。

今は呼び出しの最高位「立て呼び出し」となり、次郎さんが土俵下で力士の世話をすることもありません。私たちが見たのは30年前の若々しい次郎さんでした。年齢は30前後というところでしょうか。

「次郎さんにもあんな時代があったんだ。そこからずっと呼び出しを頑張ってきたんだね」

私は妻が考えていることが分かりました。彼女は自分の贔屓にしている若き呼び出したちが、いつか次郎さんのようになる日を想像しているのです。

できれば老いたくないのですが、そういう日が見られると思うと歳をとることも楽しみになってきます。

ゴメンなさい

相撲中継を見ていると、力士の人気がよくわかる場面が二つあります。土俵入りの時と勝負の時です。人気のある力士は、四股名が呼ばれると大歓声が上がり、名前の書かれたタオルがはためきます。

人気の力士にはいろいろなタイプがあります。まず、相撲ですから圧倒的に強い力士は人気が出ます。横綱・大関などです。

どこの世界でも同様にルックスのよい力士も人気があります。遠藤や若隆景がそれにあたります。

体重無制限の世界なので、小柄なのに強い力士は人気が出ます。炎鵬や翠富士といった100キロ前後の力士です。

滅多に使わない技を見せてくれる力士も大歓声を受けます。代表は宇良で、会場で見ていると全力士の中で一番歓声が大きいと感じられます。

さて、今年からこの分野に新しいジャンルが現れたと思っています。それは「四股名のかわいさ」です。その力士が現れると大歓声が上がります。改名するまではそれほどでした。そう、十両昇進を期に「高橋」から改名した白熊関です。

人の良さそうな表情ですが、美男子ではありません。小柄でもマイナーな技を出すわけでもありません。しかし歓声がすごいのです。その四股名が呼ばれると、みんな白いクマちゃんを想像するのでしょう。

白熊関、変なこと書いてごめんなさい。応援しています。

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投稿者: 大和イタチ

兵庫県在住。不惑を過ぎたおやじです。仕事、家庭、その他あらゆることに恵まれていると思いますが、いつも目の前にモヤモヤがかかり、心からの幸せを実感できません。書くことで心を整理し、分相応の幸福感を得るためにブログを始めました。