鉄路があるのがありがたい

分水嶺を超えて

次男と二人北海道にいますが、今回の旅の目的の一つが宗谷本線に乗車することでした。広大な北海道第2の都市旭川から最北の街である稚内を目指します。

地図で見るとそれほど離れているように見えませんが、距離にして約260キロあります。神戸から西へ向かうと広島県の三原を超える距離です。「在来線で日帰りするのはチョット」という長さですが私たちはそれをします。メインは宗谷本線に乗ること自体なのでできなくはありません。

始発列車に乗ろうとホテルを6時前に出ると、もうすでに辺りは十分明るくなっています。後で地図を見ると旭川の少し西を東経142度の罫線が通過しています。私の住む兵庫県は日本標準時の135度が通るため時間にして30分の差があり、北海道に来ていることを実感します。

予想外に2両もある普通列車は定刻に旭川を出発、高架でぐるりと市街を回り北を目指します。この感覚、姫路から播但線で北へ向かうのと似ています。

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北の街で考えた

接続しない

砂川駅は函館本線の特急停車駅ですが、駅前にバスは乗り入れていません。したがって、この駅を中継してバスでどこかへ向かうには、少し離れたバス停まで歩く必要があります。地図で確認すると、砂川病院前が一番近そうなバス停ですが、駅から徒歩で5~6分かかりそうです。

私たちの乗った特急列車が砂川駅に到着してからバスが発車するまで5分しかありません。このバスを逃すと次の便は1時間後です。私たちは、砂川駅で下車するとダッシュでタクシー乗り場に向かいました。ストリートビューで見た砂川駅前には、タクシーが1台しかとまっていなかったのです。

車に乗り込むと運転手さんに言いました。「砂川神社前バス停に5分以内に行けますか?」。私たちはタクシーで先回りしてバスに乗ろうとしたのです。

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いやな時代

テレビは見ないと言ったが…

私のモヤモヤとの戦いは、時間の使い方との戦いです。人は生まれ、生き、そしていつの日かこの世から去ります。その間、限りのある時間をいかに”有意義”に使うのか、そのことに頭を取られ過ぎて苦しんでいるのが私の姿だと思えるようになりました。

これは私を苦しめている本質的なテーマなので、改めて真剣に考えて書きます。今日、これから記そうとしているのはテレビについてです。もう少し詳しく言えば「テレビの中で描写される戦争」です。

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「面倒くささ」という魅力

相撲上げ・相撲ロス

まさかこんな自分になるとは思ってもいませんでした。一年に6回、気持ちが高揚したり、落ち込んだり。タイトルにある通り「相撲上げ・相撲ロス」を感じながら生活しています。

若き日の私は、相撲の良さが全く理解できない人間でした。むしろ「何が面白いのかよく分からない」とさえ思っていました。異常に太った変な髪形をした男たちが、ほぼ裸でケツを見せながら土俵で押し合い倒し合う、そんな姿を見てどうして興奮するのか不思議でした。

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ドットをつなげる

M先生に憧れて

結局、全てにおいて余裕のある人がカッコよく見えるのかもしれない。

私は14歳の時、M先生に出会った。社会科の教師だった。周りの教師とは持っている光が違う人であった。一言で言うと余裕がある。この先生のすることを真似していればカッコいい大人になれる、そう思わせる振舞いをしていた。

身に付けているもの、授業の展開、話に出てくる人脈の広さ、酒の飲み方(の話)、自分の人生に対する少し冷めた視線、私は憧れた。当時、同じ学校にいた若い先生も私と同じようだった。誰からも一目置かれる中年の男性であった。

「M先生のような大人になりたい」私はそう思った。

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街の銭湯

瓢箪から駒

10都道府県に緊急事態宣言が出て2か月が過ぎようとしています。私の住む兵庫県もその中に含まれており、私自身も一県民として、この禍の早期終息を願いながら毎日を過ごしています。

元来旅が好きな人間なのですが、昨年12月から県境をまたいでおりません。

居酒屋に行くのも好きなのですが、これも最後に行ったのがいつだったのか思い出せないぐらいです。

そして、私の生活の一部になったサウナに関しても自制する日々が続いています。

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電車と過ごす1日

地味な私鉄

関西と言えば首都圏と並んで私鉄が発達している地域です。世界的に見ても、日本のこれら二つの地域ほど私鉄が発達している場所は他に無いと思います。

もちろん、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ソウルといった大都市では日本の首都圏・関西に負けないくらい密な鉄道網が見られますが、私が言いたいのは「私鉄」が発達しているということです。

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親になってわかる気持ち

カセットテープ教材

親の心を子供は理解できない。少なくとも同じ立場に立つまでは。

私の親はどんな気持ちで子供にお金を使っていたのだろう。

私が中学生の頃、「進研ゼミ」をやっていた。私がねだって申し込んでもらったものだ。毎月、茶色のしっかりとした封筒に入った教材が送られてきた。中には「Challenge」という総合教材と数冊の付属品、もう一枚封筒が入っている。家で解いた問題の提出用だ。

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