上位互換

始まりはKonMari

KonMariとは整理アドバイザーの近藤麻理恵さんのことで、彼女は現在アメリカに住み世界中に影響を与える存在です。小さなころから片付けが大好きで、それを追求するうちに、その分野の第一人者となり多くの人々を救っています。

そんな彼女の著書「人生がときめく片付けの魔法」を私が読んだのは、2年半前のことでした。妻が古本屋で買ってきて放置していたものを、心がモヤモヤで「ときめく」ことから遠ざかっていた私が手にしたのでした。

私は一読した後たくさんの付箋を貼りました。数多くの役に立つことが書いてありましたが、私の心に最も響いたのは物を捨てられない原因について書かれた下りでした。

「過去に対する執着と未来に対する不安」

突き詰めるとこの2つが原因になって片付けができない、と彼女は記していました。それは片付けについて書かれた記述でしたが、私の心の中を言い当てられている気がしました。

当時の私の心の中は「過去への執着と未来に対する不安」が溢れていて、そのことがモヤモヤの原因になり、幸福を感じるアンテナを曇らせていたと思ったのです。

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想像できなかった自分

苦手意識

私は、18歳のときから結婚するまでの10年間一人暮らしをしていました。そのため掃除・洗濯・料理等の家事は一通り覚えて行っていました。それは家族を持った今でも同じで、時々台所に立ちますし、家族全員のシャツにアイロンをあてるのは私の役割です。

そんな自称「家事力の高い」私ですが苦手にしていることが1つあります。それは裁縫です。

一般的な家庭で裁縫の出番といえば、とれたボタンをつけたり、生地のほつれを直したりということになるでしょう。これらは中学校までに家庭科の授業で習う内容で、たいていの人はできることでしょう。

しかし、私はこのよううな基本的な裁縫ですら苦手としています。もちろん何度も挑戦しましたが、ボタンはうまくつきませんし、生地は再びほつれ始めます。

このようなことから、私は裁縫に対して苦手意識を持ちました。苦手意識を持ちながらそのことを行うと、たいていはうまくいきません。私は結婚後、裁縫は妻に任せ、やらなくなりました。

妻は普通の人よりは裁縫が好きで、息子たちが小さな頃は浴衣や布かばんをよく作っていました。家事全般は私も手伝うが、裁縫だけは妻だけの仕事、私はこのような立場で家事に関わっていました。

そんな私が先日二日間にわたり、夜お酒も飲まずに裁縫に没頭するという出来事がありました。自分でもこんなことになるとは想像していませんでした。

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貯金箱

6月下旬から7月

3年前まで6月は私にとって他の11ヶ月とそれほど変わらない1つの月であった。現在は、ある一部分で考えると、私にとって最も楽しみな月になっている。

ここでいうある一部分とは「お金」のことである。

日本の会計年度は4月に始まり3月に終わる。そのため多くの企業は3月末に年度の決算を行う。上場企業は決算を行った後3か月以内に株主総会を行わなければならない。したがって、日本企業の株主総会は6月に集中する。

5月下旬から総会の案内状がぽつぽつと届き始める。私のように購入最低ラインの株しか持っていない株主にも、律儀に総会の議案と議決権行使用のはがきが届く。総会が終われば配当金の案内が送付され、証券口座に入金される。

私は何もしていない。ただネットの証券会社のHPを開き、ログインして銘柄を選び、購入ボタンを押し、しばらく放置しておいただけである。そのまま権利確定日を迎えると、次の6月から7月にかけて配当金が入金されている。

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3年経過

3年前のモヤモヤ

6月30日は私にとって特別な日です。3年前のこの日に、私は初めてブログの記事を書きました。当時の私の心のなかを振り返ってみます。

私は40代も半ばになり、相当焦っていました。心の中がいつもモヤモヤでいっぱいでした。男性の平均寿命は約81歳。私の時代には90歳ぐらいになるだろうと予測して、私は折り返し地点にいました。

そんな年齢になりながらも、私は成熟からは程遠い場所にいました。不安で心が落ち着きません。その理由は分かっています。私は死ぬことを恐れているのです。これは誰でも思うことであると思います。

しかし、ずっと死を恐れていては、今生きている、この生を味わうことができません。人々はさまざまなことに打ち込み一時的に死を忘れること、または生の楽しさを味わうことで何とか正気を保っています。

そのことは分かりながらも、3年前の私は自分がこのままのモヤモヤした気持ちで残りの人生を過ごしていくことに大きな不安を感じていました。

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レアな経験(後半)

朝の散歩

若者たちの晩婚化が叫ばれて久しい。私たちの時代は30歳が一つの目安であった。20代後半で結婚して、30歳で親になる。特に女性にとってこの数字は切実なラインであったと思う。

今は30になり結婚している男性は少数派になってしまった。私のまわりでも、30代の独身は両手では数えきれないほどいる。性別を問わずにである。

どうして人々は結婚しなくなったのだろうか、その理由についてここで考察するつもりはない。私が興味あるのは、ただでさえ少なくなった結婚に対し、仲人を立てるカップルの割合がどれくらいあるのかということ。そして、その中で結婚式から十数年を経た後、仲人と二人で旅をする男がどれくらいいるのかということ。

間違いなく、私は世の中でレアな経験を今行っている。それはそれで、私にとってすごく楽しい経験である。

昨夜は私が眠りに落ちるのが早かった分、翌朝も私が先に目を覚ました。そして、私の病気が始まった。就寝中の仲人さんを横にイタリア語のテキストを開く。こんな状態では頭に入るはずがないと分かりながら、毎日学習しないと気が収まらない。

昨年は、訳あって次男と3回北海道に行った。私は、いずれの時もテキストを手放すことができなかった。かといって、目に見える成果があるわけではない。語学の沼に足を取られたままである。

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レアな経験(前半)

仲人さん

私は妻と知り合い、3年半付き合って結婚をした。その時「仲人はどうする?」という話になった。その当時、私のまわりでは結婚ラッシュが続いていたが、友人たちが仲人を立てていたかどうかはよくわからなった。つまり仲人はそれぐらい話題にならない存在であった。

私は職場にとても尊敬できる先輩がいて、結婚するならその人に間に入ってもらいたいと思っていた。妻に話すと二つ返事で受け入れてくれた。そのようなわけで、私から見てひと回り年上の先輩夫妻に仲人をしてもらうことになった。

昔は「仲人は親も同然」という格言があったらしいが、本人同士の気持ちが最優先される現在においては、その言葉は力を失っていると思う。私たちの場合はどうかというと、予想以上に結びつきが強く、親とまではいかなくてもそれに準ずるお付き合いをさせていただいている。

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大量の命

刈り払い機

私の父親はまだ神経痛の痛みから解放されていない。鍼灸院に行き、ツボのある場所を記してもらい、母親がそこにお灸をすえているが、どうやら長期戦になりそうとのことだ。

この神経痛、立ったり座ったりの作業なら何とかできるのだが、立ちっぱなしになると足腰から悲鳴があがるらしい。そんなわけで、立ちっぱなしで田んぼに肥料を撒く作業は4月・5月と2回に渡り私が行った。

その後、何とか父の手で田植えを終えた。

田植えが終わると気温は日に日に上昇し、夏の気配が強くなってくる。そうなると田畑の雑草は一気に成長を始める。先日、私はこの2ヶ月間で3度目の帰省を行い、この雑草と戦ってきた。

刈りばらい機

戦うための武器は「エンジン付きかりばらい機」、田舎で田畑を持つ家には必ずあるマシンである。写真の右側には30㏄の2ストロークエンジンが付いており、その動力はシャフトを通じて先端の円盤に伝えられる。

ビニール製のワイヤー

円盤は高速で回転し、その遠心力で伸びたワイヤーは次々と草をなぎ倒していくのだ。ビニール製とはいえ、結構な破壊力を持っており、茎の太い草であっても少しずつ削り取り、やがて倒してしまう。

私はこのマシンを荷台に積み込み、父親と軽トラで田んぼへ向かった。混合油をタンクに入れ、チョークを引いてエンジンをかける。最近は、チョークを使うことも、セルモーター以外でエンジンをかけることもないため新鮮な気持ちになる。

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シラフのツーリング

いつもの立ち飲みで

もともとお酒は好きでよく立ち飲みに行っていたが、週に何度も通う店は持っていなかった。5年前に、ふとしたことから後輩と二人で職場と駅の間の立ち飲みへ行き、それからその店「F酒店」に通うようになった。

「F酒店」は日本酒に力を入れる立ち飲みであり、日本酒をおいしいと思いながらもそれを表現する語彙に乏しい私は、日々そこで表現力の勉強と称してお酒を楽しんでいる。

定期的に通ううちに数多くの常連さんと知り合いになり、その中には私と趣味が重なる人もいる。ほとんどの人とはその場でお酒をのみながら共通の話題を楽しんで終わりであるが、バイク好きの人とは話をするだけでは物足りない。

お酒を飲みに来ているということは、当然、バイクは家に置いて公共交通機関か徒歩でここに足を運ぶこととなる。そんなわけで、ライダーとお酒を飲みながらよくバイクの話をするのだが、一度も彼らの愛車を見たことがないし、逆もまたそうである。

それではこの辺で一度「スマホの写真ではなく本物のバイクを見せますか」ということで酒飲みたちがシラフで集まることになった。

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今年は特別

いつもの場所で

5月の楽しみは大相撲夏場所だけではありません。この季節になると、通勤途上、最寄り駅へと向かう間、何度も上を見上げ、しばらく立ち止まります。自宅から駅の間に今年は4つのツバメの巣を発見しました。

「ツバメたちが返ってきたな」と思うと、間もなく巣ができ上り、中での抱卵が始まります。そしてある日、いつものと違う雰囲気に見上げると、4~5匹のかわいらしい雛が鳴いています。

ここまでが序章、ツバメ一家の誕生までです。そして、ここからがとにかく速いのです。雛はものすごい勢いで親鳥に餌をねだります。朝から晩まで、日の明るいうちは親鳥は狩りとエサやりで明け暮れます。

弱々しかった雛は一日一日大きく成長していきます。驚異的なスピードで羽が生え揃い、巣の中での移動する姿も見られます。動き回る途中で巣から落ちてしまう雛もいます。これは自然の中では仕方のないことで、落ちてしまった雛は助かりません。他の動物や虫の餌になります。

ただでさえ狭い巣は成長していく雛で身動きが取れないほどになります。こんなに短期間であそこまで成長させるには、いったいどれだけ餌を食べさせればよいのでしょうか。また、雛の骨格や筋肉はそんなに短期間成長できるものなのでしょうか。

とにかく孵化してからの2~3週間は、何か不思議なものを見ている気がします。そして、このツバメの子育てを見るたびに、自分自身のそれを思い出さずにはいられません。私たちが今まで息子らにやってきたことが、ツバメを通じて早送りのように浮かび上がってきます。

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夏場所

いろいろありました

先月、大相撲が好きな人は5月病にならないという記事を書いた。夏場所が始まるのを楽しみにしてゴールデンウィークを過ごすことができるからである。実際に私も、ゴールデンウィークが早く終わってほしいと思いながら場所を迎えた。

私の家の居間には、買ったばかりの50型テレビとレコーダーがある。普段テレビを見ない私はレコーダーの操作方法がよくわからないので、妻に頼んで大相撲を録画してもらう。今場所はいつもの幕内全取り組みダイジェストに加え、2時半ごろ行われる十両の取り組みも時間設定してもらった。

録画の量が膨大になるため、適当に早送りしながら見ていく。夜お酒を飲みながら、朝出勤前に早起きして、とにかく相撲だらけの2週間であった。今場所もいろいろな気付きがあったので箇条書きにしてみる。

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