ジレンマ
大相撲は私の生活にとって、どうでもよいものでした。それが5年前から突然変わりました。私の中の何かが変わったのでしょう。私は40過ぎにして相撲が面白いと思い始めました。ちょうど稀勢の里が横綱になる頃です。
職場にも相撲の好きな先輩がいます。私たち二人が相撲の話で盛り上がっていると、別の先輩が言います。「相撲の何が面白いの?」「太った人がぶつかり合っているのを見て楽しいの?」
「相撲の魅力を一言で言うと『面倒くささ』なんです!」とのど元まで出かかるがグッと我慢します。地ならしができていない人に対して何を言っても入っていかないと思うからです。「そうですね。私も若いころはその魅力に気づきませんでした。人生損していました」と言ってお茶を濁します。その裏には「私より年を召されているのに、まだ気がつかないんですか」という皮肉も混じっています。
大相撲の「面倒くささ」が人生に似ていると気づいたとき、私はこの国技の魅力に取りつかれました。年をとるのも悪くないなあと思う瞬間です。
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