朝8時の点呼
2年前に痛めて以来、父親の足腰の調子がよくならない。長い距離を歩くことができない。10分以上立っていられない。ちょっとした姿勢の変化で痛みが走る。
年齢を考えると「よくならない」というより「年相応な状態になった」という方が適切かもしれない。そうであっても若い頃運動神経がよかった彼からすると、思うように動けない自分が歯痒くて仕方がないように見える。
「どうするかお前が決めてくれ。もう手放してもいい」
数年前から父親は私にそう言うようになった。稲作をするための田んぼのことである。私の実家は二面の圃場を所有していて、すでに一面は農業法人に貸している。
「貸している」と言っても現金も収穫の一部ももらっていない。そんなものを求めれば借り手は現れない。貸した田んぼで稲作をしてもらうことで草刈りなどの手間を省くことができる、それが田んぼを貸すことで得られる報酬。この国での田畑の価値がよくわかる。
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