夏の盛りに
地球温暖化は確実に進んでいると、この10年間の夏を経験して確信している。この時期、昼間の気温が35度を超える地域が現れても驚かなくなった。夜も25度を下回らないことが当たり前となった。私の子供のころは、夏とはいえ朝夕は涼しいと感じていた。
蝉の鳴き声が暑さに拍車をかける。アスファルトとコンクリートに囲まれた都会であっても、どこからともなく蝉が現れて、そこらじゅうでなきわめく。蝉には耳があるのだろうか。何のためになくのかと思う。
時間の経過と共に蝉の種類が変化する。シャーシャーシャー、ジリジリジリ、カナカナカナ、ミーンミンミン。私は人間の音節しか知らないからカタカナで表すとこうなるが、実際はもっと複雑である。
土の中で何年も過ごした蝉は、地上に出て2~3週間で命を終える。私たちが目にしているのは、老後を迎えた蝉の姿である。時間で考えれば老後であるが、生殖活動を含め一番元気がよい。夏にこの世の春を迎える、それが蝉の生体である。
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